高血圧治療の武器
高血圧は、かなり進行して臓器に影響が出始めてからも痛みなどほとんどなく、自覚症状がありません。
健康診断で「少し血圧が高めですね。」と指摘されたくらいでは、そのまま放置してしまう人が少なくないと思います。
とは言え、年齢が若くても、軽視は禁物です。
高血圧は静かに忍び寄る「サイレントキラー」と呼ばれています。
脳、心臓、腎臓に障害を起こし、死亡したり寝たきりになって介護の原因になったりする心疾患や脳卒中の危険因子です。
実は、2014年4月、この高血圧の診療方針をまとめた「高血圧治療ガイドライン」(日本高血圧学会)が5年ぶりに改訂されました。
今回変更された中で、面白かったのは、家庭で測定すると言う項目が増えました。
「診察室血圧と家庭血圧の間に診断の差がある場合、家庭血圧による診断を優先する」と記されたとも記載されています。
これは、病院で測定した値よりも、家庭で測定した値を信じる、と言うことになります。
これにはいくつかポイントがあります。
- 家庭用の血圧測定器の性能があがり、病院のものとほぼ変わりなくなった。
- 家庭の方が病院に比べ落ち着いて測定できるので本来の値に近い(白衣高血圧など)
もう一つ面白いと思ったことがあります。
それは「家庭内における血圧の測定回数」です。
従来測定は1回となっていました。
日本は2回測定している人が多いこと、ヨーロッパの人は2回測定していることが多いこと、を考慮してか「2回測定して平均値をとる」と明記されています。
ほとんどの人は平均なんて出さなくて、2回計ったら都合のいい方の値を取っています。
一般の人の行動と専門家の考えにはまだまだ差があるようです。


夜間の血圧では意外なことが分かるかも
血圧の日内変動や夜間血圧なども留意すると良いと「高血圧治療ガイドライン」(日本高血圧学会)に記載されています。
血圧は1日のうちで上がったり下がったり変動があります。
通常は起きてすぐは血圧は低めです。
生活の活動しているうちに昼間くらいには高くなり、夜はまた下がっていきます。
ところが、深夜になっても血圧が下がらない方や、夜になると血圧が上がる方がおられます。
このような夜間血圧が高い人は、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高いことがわかってきました。
また、睡眠時無呼吸症候群と言う病気があります。
これは寝ている間に気道がふさがり、呼吸ができなくなる病気です。
夜中に血圧が高い人は十分に睡眠がとれておらず、昼間に眠くなることが多く、近年、この病気による事故が社会問題となっています。
睡眠時無呼吸症候群と高血圧の関係について調査している機関も出てきました。
あとは、ストレスや生活に問題があると夜間血圧は高くなるといいます。
夜間血圧は、通常の診察では見えない部分が明らかになってきます。
しかも、病院ではなかなか測定できない値です。
家庭で夜間の血圧を測定して、記録したノートを提出するよういう病院も出てきました。
この値を元に病院で測定した値だけではわからないこともわかってきたと言います。


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